Lychee Redmine-EVM活用術-プロジェクトの進捗とコストを定量的に把握!
本記事では、Lychee RedmineのEVM機能について解説します。
目次
EVM(アーンドバリューマネジメント)とは
EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)は、プロジェクトマネジメントにおいてコスト・スケジュール・進捗の状況を管理する手法の一つです。計画した予算やスケジュールに対する現在のコストの消化状況やプロジェクト進捗状況を測定・分析・予測します。
EVMを活用するには、リアルタイムな進捗・スケジュール・工数のデータ収集が必要ですが、これには手間や時間がかかります。Lychee EVMは、プロジェクトメンバーが登録するチケット(タスク)と連動しているので、データの集計・加工には時間をかける必要がありません。進捗や工数の集計は自動化され、ワンクリックでグラフが表示されます。
Lychee EVMの利用により、どのようにプロジェクトの状況を把握し、それを今後のプロジェクト運営に生かせるのかをご紹介します。
EVMの各指標の算出とLycheeRedmineでの算出方法
EVMの基本となる値とLychee RedmineのEVM機能での算出方法は以下の通りです。
EVMの値 | 正式名称 | Lychee Redmineでの算出方法 |
PV | Planned Value (出来高計画値) |
各チケットの期間と予定工数から算出 |
AC | Actual Cost (コスト実績値) |
各チケットの作業時間の累計を算出 |
EV | Earned Value (出来高実績値) |
各チケットの予定工数×進捗率を時間換算して算出 |
BAC | Budget at Completion (完了までの予算) |
すべてのチケットが完了する日のPVの合計 |
EVMの各値を算出するには、チケットに開始日・期日・予定工数をすべて入力する必要があります。入力されていないチケットは、値の計算対象外になるのでご注意ください。
EVMグラフの見方
Lychee RedmineのEVM機能では、上記の算出方法に基づいて、下の図のようなEVMグラフを自動で生成します。グラフは、縦軸が時間、横軸が日付になっていて、プロジェクトの開始から終了予測日までの各値を折れ線グラフで表示しています。
グラフを見ることで、例えば以下のことがわかります。
- PVとEVの縦軸の差から、スケジュール差異(プロジェクトが早く進んでいるか、遅れているか)がわかる
- PVとACの縦軸の差から、コスト差異(コストが予算内に収まっているか、予算超過しているか)がわかる
- PVとEVの横軸の差から、遅れの期間がわかる
- PV=BACになる日付と「予測完了日」の横軸の差から、終了日遅延の予測ができる
※スケジュール差異は、SV(Schedule Varianceの略称)、コスト差異は、CV(Cost Varianceの略称)とも呼ばれます。
EVMグラフの評価
パターン①:進捗良好、コスト消化状況も良好なグラフ
グラフからは以下のことが読み取れます。- PV<EV:〇進捗良好
- スケジュール差異は、EV(554) -PV(530) =24。計画よりも24時間分早く進んでいる。
- AC<EV:〇コスト消化状況良好
- コストが予算内に収まっている。コスト差異は、EV(554)-AC(500)=54。計画よりも54時間分少ない工数で進行している。
パターン②:進捗遅れ、コスト消化状況は良好なグラフ
グラフからは以下のことが読み取れます。- PV>EV:×進捗遅れ
- スケジュール差異は、EV(506) -PV(541) =-35。計画よりも35時間分遅れている。
- 期間で見ると、現時点で10日程の遅れが生じている。
- このまま進むと、プロジェクト終了時には18日程遅れが生じると予測されている。
- AC<EV:〇コスト消化状況良好
- コストが予算内に収まっている。コスト差異は、EV(506)-AC(454)=52。計画よりも52時間分少ない工数で進行している。
- 考えられる対応策
- コストにはまだ余裕があるため、人員を増やして進捗の遅延をカバーする。
- スケジュールに無理がある可能性があるため、スケジュールの見直しを行う。
パターン③:進捗遅れ、コスト超過のグラフ
- PV>EV:× 進捗遅延
- スケジュール差異は、EV(506) -PV(541) =-35。計画よりも35時間分遅れている。
- 期間で見ると、現時点で10日程の遅れが生じている。
- このまま進むと、プロジェクト終了時には20日程遅れが生じると予測されている。
- AC>EV:× コスト超過
- コスト差異は、EV(506)-AC(591)=-85。計画よりも85時間分超過している。
- このまま進むと、プロジェクトの終了時には300時間程のコスト超過が予測されている。
- 考えられる対応策
- 進捗の遅延もコスト超過も発生しているため、期間に対する作業量が多い・人員が足りない・作業効率が悪いなど、複数の問題を抱えている
- プロジェクト管理全体を見直し早期の対策が必要で、例えば以下の対処が考えられる
- 作業量が多いためプロジェクトのスコープを見直す
- コスト超過は覚悟で人員を増やし納期に間に合わせる
- これ以上のコスト超過はできないため、納期を遅らせる
- 作業効率の改善のためプロセスを見直す
まとめ
Lychee RedmineのEVMグラフを使ったプロジェクトの評価と対応策についてご紹介しました。Lychee EVMはチケットに必要な項目が入力されていれば、自動でグラフが表示されるので、すぐにプロジェクトの状況を定量的に評価できます。運用にあわせてぜひご活用ください。
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